はぐれた若いイッカクがベルーガの群れに迎え入れられる

はぐれた若いイッカクがベルーガの群れに迎え入れられる

2018/09/14(金)

【9月14日 AFP】生息圏の北極海を離れて南方をさまよっていた若いイッカクが、カナダのセントローレンス川(Saint Lawrence River)で、ベルーガの群れに新たな仲間として迎え入れてもらったようだ。海洋生物保護団体が13日、明らかにした。

牙と灰色の斑点が特徴的なイッカクは今夏、約10頭の白いベルーガ群れに混ざって泳いでいるところを海洋生物学者らによって撮影された。

カナダ東部ケベック(Quebec)州タドゥサック(Tadoussac)の非営利団体で、海洋哺乳類に関する研究と教育を行う「GREMM」のロバート・ミショー(Robert Michaud)所長によると、海面近くで互いに回転しからだを擦り寄せたり、生殖器を露出したりしている様子から、イッカクがベルーガの群れに全面的に受け入れられていることが見て取れるという。

イッカクの生息圏はカナダ、ノルウェー、グリーンランド、ロシア周辺の北極海で、これほど南下することはあまりない。

イッカクがベルーガの群れと一緒にいるのが最初に目撃されたのは2016年で翌年にも確認されていた。

そして今年7月、GREMMがドローンを飛ばし、ベルーガの群れと共に泳ぐイッカクの姿を初めて映像に捉えた。

セントローレンス川のベルーガは、同種としては最南端に生息する個体群で、絶滅の恐れも危惧(きぐ)されている。

ベルーガとイッカクの生息海域は北極海で部分的に重なり合い、お互いに近縁関係にあるが、双方の交流が見られるのは稀だ。

ミショー氏は、放浪癖のある若いクジラが「困難な状況」にしばしば追い込まれることを指摘しながら、このイッカクがベルーガの群れに仲間入りできたことは「実に幸運だった」と話し、また若いイッカクが生きていくためには、他の個体との接触が必要であることも説明した。

そして、「イッカクはベルーガになる修行中だ」と笑いながら述べ、「これからどうなるだろうか。イッカクとベルーガは60歳まで生きる。先は長い。楽しみに見ていこう」と続けた。

(c)AFP

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シロイルカ(Delphinapterus leucas)は、偶蹄目(鯨偶蹄目とする説もあり)イッカク科シロイルカ属に分類される鯨類。本種のみでシロイルカ属を構成する。

別名ベルーガ。シロクジラ。

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イッカク神話

イッカクの棲む海域はヨーロッパの人々にとってはあまりにも北であったため、19世紀までは伝説の動物だった。

イヌイットとの交易を通してのみ、イッカクの存在が伝わっていた。

イヌイットの間ではある女性が銛にしがみついたまま海に引きずり込まれ、その後、女性はシロイルカにくるまれ、銛は牙となって、それがイッカクとなったという伝説が伝わっている。

角について

ユニコーン(額に一本の角の生えた馬の姿を持つ伝説上の生物)の角は解毒作用があると考えられたため、中世ヨーロッパではユニコーンの角と偽ってイッカクの角が多数売買された。

江戸時代の日本にもオランダ商人を通じてイッカクの角はもたらされた。

当時の百科事典である『和漢三才図会』(1712年)にてイッカクが紹介されている。

他、木村孔恭の著した「一角纂考」という書物には、鎖国の中で木村自身が調べあげたイッカクの生態や、ユニコーンなどの西洋の伝説と共に、実際の詳細な骨格や、珍しい2本の牙を持つイッカクのことも紹介されている。

漢方薬の材料としてもイッカクの角は使われ、研究者が標本として、漢方薬店で見つけたイッカクの角を購入した事もある。

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