キリンの模様は丸く大きいほど生存率が高い、新説

キリンの模様は丸く大きいほど生存率が高い、新説

2018/10/06(土)

4年にわたる野生キリンの撮影データから、母子の共通点や生存率を分析

キリンにはなぜ模様があるのか? その形やパターンはどのように決まっているのか? 親から受け継ぐものなのか?

意外かもしれないが、これらはどれも答えの出ていない謎だった。

2011年からアフリカ、タンザニア北部でキリンを調査してきた研究者のデレク・リー氏とモニカ・ボンド氏は、この謎を解き明かそうと研究に乗り出した。

10月2日付けで学術誌「PeerJ」に掲載されたリー氏らの論文によると、キリンの模様のうち特定の要素は遺伝性であり、幼いキリンの生存率に影響しているらしいことが判明した。

特に、模様の丸みと滑らかさ(専門的には「複雑性(tortuousness)」と呼ばれる尺度)が母から子に遺伝しているようだ。

模様と生存率にも相関があり、模様が大きく丸みがあるほど、幼いキリンが生き延びる確率も高くなると、リー氏らは論文で述べている。

ただ、理由は正確にはわからないという。

キリンの模様はカムフラージュに役立っているとの仮説もあるが、体温調節に役立っている可能性もある。
それ以外にも、知られざる効能があるかもしれない。

「哺乳類一般の外皮の模様について、自分たちがほとんど何も知らないということに気づきました」。

米ペンシルベニア州立大学の准研究教授で、ボンド氏とともに保護団体「野生自然研究所」を設立したリー氏はこう語った。

「模様が何を意味するのか、じっと目を凝らしたことはなかったのです」

キリン保護基金の共同設立者で、世界トップクラスのキリンの専門家であるジュリアン・フェネシー氏は、
「この研究結果は科学的に根拠があり、興味深いものです。ただし、ひとかたまりのサンプルセットにすぎません」と話す。

フェネシー氏は今回の研究には参加していない。

「この研究を、他の地域のキリン研究や別種の研究と比較できれば素晴らしいと思います」

(参考記事:「珍しい白いキリンの写真を公開、タンザニア」)

キリンの模様に関連した研究は、最も新しいものでも1968年までさかのぼるとリー氏は言う。

著名なキリン研究者のアン・イニス・ダッグ氏が、模様の大きさ、形、色、数が遺伝性と考えられる証拠を見出したのだ。

しかしリー氏によれば、当時に比べると遺伝学の理解は劇的に進んでおり、ダッグ氏の研究は動物園にいる比較的少数の個体群を対象としていた。

「野生の個体群で実際に検証した人は誰もいませんでした」

キリンを大量に撮影、分析

2012年、リー氏とボンド氏は模様についてもっと解明を進めようと、タランギレ国立公園の奥深くを訪ねた。

「無数の」ツェツェバエと戦いながら、可能な限り多くのキリンを4年にわたって写真に撮り続けた。授乳行動の観察により、母子のペアも31組特定できた。

「野生のキリンの雌は、自分の子でないキリンに授乳することはほぼありません」とリー氏は説明する。

一方、キリンの父親を特定するには、絶え間ない観察か遺伝子検査が必要だ。

結果として、「確実に特定できる親は母親」ということになった。(参考記事:「【動画】生まれたばかりのキリンの赤ちゃんの奮闘」)

リー氏とボンド氏、そして論文共著者のダグラス・キャベナー氏が次に行ったのが、パターン認識ソフトを使い、撮りためた大量の写真を分析することだった。

丸み、色、大きさ、数など11の特徴を測定し、模様が母子の間で受け継がれているのか、子キリンの生存率に何らかの影響があるのかを調べた。

『The Giraffe’s Long Neck(キリンの長い首、未邦訳)』の著書があるクレイグ・ホルドリッジ氏は、この論文について「模様に関わるいくつかの点が遺伝性だという有力な証拠を示している」と評価しつつ、模様の大きさと生存率に関する結論はいささか疑わしい、と続けた。

「この相関関係がカムフラージュと捕食者からの防御に関わると仮定するのはあまりに簡単ですが、推測でしかありません」

リー氏はこうした批判を気に留める様子はない。「どんな可能性でも考えられます。だからこそ、科学には再現がとても重要なのです」

今回の研究が少なくとも将来の研究の確かな基礎となって、キリンやあるいは他の動物の探究にも役立つことをリー氏は期待している。

「これは始まりにすぎません。複雑な模様を持ちながら、それについてほとんどわかっていない哺乳類は本当に多いですから」(参考記事:「シマウマとトラ、地肌がシマシマなのはどっち?」)

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