人々を魅了してきたSNSとしてのミクシ

平成B面史

「ミクシィ」久しぶりに見てみたら…ネットの距離感にやきもき 「黒歴史」だけど輝くあの頃

みなさん、「mixi」してますか? 2004年にサービスを開始してから、人々を魅了してきたSNS。

FacebookやTwitterに鞍替えした人も多いかもしれませんが、今でもちゃんとデータが残っています。

mixiのことをちゃんと語らなければ、平成も終われない! そんな思いを持つ4人でmixiについてアツく語り合う座談会を開きました。

すると、出るわ出るわの黒歴史の数々……。

不安になったあなた、久しぶりにログインしてみませんか?(朝日新聞デジタル編集部・野口みな子=平成元年・1989年生まれ)

mixiについてアツく語り合う人たち

◆吉永龍樹さん(39)

いまトピ編集長。NTTレゾナントでサラリーマンとして働くかたわら、クリエイターとしてLINEスタンプ「ゆかいなエヅプトくん」など手がける。
管理人を務めるマンガ「HUNTER×HUNTER」のmixiコミュニティには8万アカウント超が所属する。

mixi歴は2004年から。主なmixiネームは「ヨシナガ(僕秩)」。

◆山下奈緒子記者(32)

朝日新聞名古屋報道センター。今年10月、ふとしたきっかけで10年ぶりくらいにmixiにログイン。

芸人を目指し吉本興業のオーディションを受けたり、M-1の一次予選で落ちたりしたことがある。

mixi歴は2007年から。主なmixiネームは「occo」(「なおこ」にかけて「Cocco」を意識している)。

◆神戸郁人記者(30)

withnews編集部。「mixiで人生が豊かになった」というほど、青春時代にmixiにどっぷり浸かった男。

ビジュアル系の音楽をこよなく愛すバンドマン。大学の専攻は哲学科。
mixi歴は2007年から。 主なmixiネームは「でいもん」。

◆野口みな子(29)

朝日新聞デジタル編集部。数年前、「いま死んだら、インターネットの海に浮遊するmixiの日記はどうなるのか」という不安に駆られて眠れなくなり、久しぶりにmixiにログイン。

すべての日記を非公開にして以来、精神状態が安定している。

mixi歴は2007年から。主なmixiネームは「りんご@○○」(○○はよく変わる)。

mixiの「古参」マウンティング

野口 「本日、みなさんにお集まりいただいたのは他でもない、「mixi」が私たちに与えたものはなんだったのか、平成の終わりにじっくり話し合いたいと思います。

みなさんの登録時期を伺ったのですが、吉永さんはかなり初期からmixiに登録してたんですね」

吉永さん 「いや、僕でもまだまだですよ。初期の頃は、『古参マウンティング』なんてものがありましてね。古参のアカウントが新参者にブイブイ言わす、みたいなことがあったんですよ」

山下記者 「えっ、登録した時期って他人でもわかるんですか?」

吉永さん 「時期までは推測になりますけど、プロフィール画面で登録した順番がわかるって知ってました?」

3人 「知らないです!」

吉永さん 「プロフィール画面に『ID:』から始まる数字がありますよね。

それがmixiに登録した順番です。

自分のID番号を比べて、相手が数字が小さければ、それは自分より先に登録していることになります」

野口 「じゃあ私は『12579203』だから12,579,203番目ってことですか?」

吉永さん 「そうです!」

神戸記者 「僕は24,817,258番目ですね」

山下記者 「私は8,743,499番目だ!」

吉永さん 「この3人の中では山下さんが一番早いってことになりますね」

山下記者 「いえ~い!」

吉永さん 「ちなみに僕のIDは『9064』。4桁ですけど。」

3人 「早くも古参マウンティング!!!」

コミュニティの管理人の苦労

野口 「みなさんは一体どんな風にmixiを使っていたんですか?」

吉永さん 「僕がmixiを始めたころはまだ、コミュニティもあまり充実していなかったので、いろんなコミュニティの管理人をやってましたね。

マンガの『HUNTER×HUNTER』のコミュニティがなかったので作ってみたら、8万人以上の大規模なコミュニティになりました」

《◆mixiコミュニティ:同じ趣味や関心を持つアカウントと、掲示版で交流できるグループ。

自分でコミュニティを探して、参加することができる。一部のコミュニティは管理人の承認が必要》

神戸記者 「8万人!? すごいですね!」

吉永さん 「それが結構大変で、どこから流れてきたのか、まだ掲載されていない回の漫画が掲示板に貼られていたり、連載が休載から再開されると掲示板も盛り上がるので『荒らし』のような書き込みが増えたり……」

山下記者 「掲載されてない回を掲示板に!?」

野口 「犯罪の温床になってるじゃないですか!」

吉永さん 「管理人としてコミュニティの秩序を保たないといけないので、書き込みの削除も手動でやっていました。今思えばそういう作業もいちユーザーに任されているのがすごいですよね」

野口 「確かに。管理人のうまみがあまりないですもんね……」

吉永さん 「でも、『エスパークス』という漫画のコミュニティに入っていたことがきっかけで、作者の征矢浩志さんに会えたんですよ。ファンイベントの開催にもつながりましたね」

神戸記者 「まさに『やっててよかった!』って感じですね!」

吉永さん 「いつかHUNTER×HUNTERの冨樫義博先生に会えるんじゃないかと夢見ていましたが、それは叶ってないですね……。冨樫先生、mixiやってないのかな……」

大切なことはmixiが教えてくれた

神戸記者 「コミュニティと言えば、僕は自己紹介の代わりになるコミュニティにやたら入ってましたね」

山下さん 「えっ! どういうことですか?」

神戸記者 「例えば、『うんこで笑える大人になりたい』とか『本読むの遅い』とか『要領が悪い』とか、自分の信条や性質を説明するものですね」

野口 「自分へのタグ付けみたいなものですかね」

神戸記者 「あと僕は『いろんな多様性を受け止めたい』と思っているので、『認める』っていうコミュニティ入ってました」

山下記者 「『認める』……そんなのまであるんですか!」

神戸記者 「そうですよ~……でも今見たら、アカウント107人しかいないですね」

吉永さん 「割と小さめの『認める』ですね」

神戸記者 「そうみたいですね……(しょんぼり)」

野口 「mixiによると、コミュニティの数はいまや270万を超えているらしいです。

サークルやゼミとかのリアルなつながりの延長線上のものもあれば、音楽やスポーツなどの共通する興味関心で集まっているコミュニティも多いみたいですね」

神戸記者 「僕はまさしく音楽のコミュニティにお世話になったタチですね」

山下記者 「どれはどうしてですか?」

神戸記者 「大学で軽音部に入ったんですが、僕が好きだったのはビジュアル系で、それを共有できる人が周りにいなかったんですよね。

でも、mixiで好きなアーティストのコピーをするセッションイベントのコミュニティがあって、入ったんです。

僕みたいな10代もいれば、40代の人もいて、でもなんかそれが楽しくって。

コミュニティで出会った人とライブをやるまでになりました。mixiで居場所を見つけたって感じです」

吉永さん 「確かに、1千万人規模の人たちがつながるSNSってそれまでなかったと思うんですよね。

そうすると、クラスや学校にはいない人と出会える。地域が一緒だからという理由でまとめられるコミュニティとは違って、自分でコミュニティを選べるようになるっていうのは、画期的でしたね」

神戸記者 「そうなんです! 10年近く経った今でもその人たちとは付き合いがあって、僕の人生の豊かさが変わりましたね。

年上の人から社交性を学んだというか、いま思い出せばエクセルの使い方も彼らから教えてもらいました」

野口 「めちゃくちゃいい話じゃないですか……。そんな人のmixiネームが中二病丸出しの『でいもん』だなんて……」

神戸記者 「やめて!!!!!」

それぞれの「居場所」の形

野口 「山下さんはどんな風に使ってたんですか?」

山下記者 「私の場合は逆に『mixi引きこもり』系でしたね」

野口 「『mixi引きこもり』…?」

山下記者 「私、恥ずかしながら思春期が22歳くらいまであったんですよね」

吉永さん 「おお~、こじらせてる感じですね」

山下記者 「地元の奈良の高校から、大阪の大学に進学したんですけど、雰囲気が全然違ったんですよ。

それまでは面白キャラでやってきたんですが、キャンパスのキラキラ感に気後れして自分を出し切れず、『あれ!? 私って面白くない!?』みたいな。

要するに『大学デビュー』をし損ねたんです。それで、高校の同級生がいるmixiに逃げ込んで、日記とか書いて。

コメントがあると、『やっぱり私面白いよね!』って思えて、自尊心が保たれる…。

コミュニティにも入らず、クラスメイトと仲良い子だけの30人くらいのマイミクだけの世界でやってました」

《◆マイミクシィ:略して「マイミク」。Facebookの「友達」のように、お互いの投稿(日記など)がチェックしやすくなる。

公開範囲が友人限定に制限されている日記なども閲覧できるようになる》

野口 「神戸さんのmixiの使い方と正反対で驚きました」

山下記者 「ほんとに、話を聞きながら同じものを使っていたと思えないですよ」

神戸記者 「でも、毎日同窓会みたいな感じでいいじゃないですか」

山下記者 「まさにそうです。等身大の自分でもいいじゃないって思えるような、私にとっての居場所だったんです」

野口 「人によって違う形の『居場所』が生まれているって、すごく面白いですよね」

悲喜こもごもの「足あと」機能

野口 「mixiを語る上で外せないのが『足あと』機能ですよね」

《◆足あと:自身のページをいつ誰が訪問してくれたかを把握することができ、簡単に友人にページを訪問したというフィードバックできる機能。
他人のページの訪問者は見られない》

山下記者 「そうそう! 誰が自分のページを読みに来ているか、めちゃくちゃ気にしていましたね。

気になる男の子の日記を読みに行きたいけど、その子の日記だけ見に行くのが恥ずかしくて、その前にカモフラージュで5人くらいのページに足あとをつけてから見に行ってました。何の意味もないのに」

野口 「それ私もやってました! 何回も訪問すると変に思われるかもしれないから、1回の訪問がめちゃくちゃ貴重でした! こういうヒヤヒヤ感って、今のSNSではあんまりないですよね」

神戸記者 「あと、マイミクの最近ログインした時間がざっくりが見れて、一喜一憂しましたよね。『メール返してくれてないのに、mixiログインしてるじゃん!』って」

野口 「わかりすぎてつらい……。mixiでネットや電話じゃわからない相手の行動が読めるようになったから、距離感がわからずやきもきしましたね……。

逆に、夜眠れないときに、ログインしてるマイミクがいると、謎の親近感がわいていました」

吉永さん 「今思えば『ネットストーキング』のはしりだったのかもしれませんね」

野口 「重く受け止めます……」

自分の日記に阿鼻叫喚の嵐

野口 「だんだん過去を思い出して手汗が出てきたのですが、ちょっとこれを機に、過去の自分の日記読んでみませんか?」

吉永さん 「もう全然何を書いたか覚えてないですね……」

神戸記者 「うわぁ、読みたくない……」

山下記者 「恥ずかしすぎる……」

《日記を読み始める4人。次第に無言に……》

神戸記者 「『とにかく今年学んだのは、【やるかやらないかが問題】』とか書いてる……」

山下記者 「私なんて当時お笑い芸人にあこがれていたから、『【青木さやか】の枠には私が入るはずだったのに……』とか凹んでますよ」

野口 「時代を感じますね」

吉永さん 「僕はやたら『忙しい』自慢したり、『幸せ』について本気出して考えたりしてますわ。

これなんて、冒頭がミスターチルドレンの歌詞から始まってる……」

野口 「ミスチルをオープニングアクトに使う日記、贅沢すぎる……。

そんな私は不思議ちゃんを気取っていた黒歴史しかありません……」

吉永さん 「mixiの日記って、いろんな自意識があって、それが過剰になってますよね」

神戸記者 「ネットと実社会が融合し始めた頃で、いろいろみなさんふりきれてましたよね」

山下記者 「そう、それを誰も黒歴史になると思ってやってないのが怖いですよね。

10年以上経ってもスマホで見返すことができるようになってるなんて……」

吉永さん 「これってたぶん、リアルな生活と同じようなコミュニケーションをネットでもとろうとしてると思うんですよ。

教室のすみの方でやってるノリで、話を盛ったりとか、『かまし』たりとかが、文字になってるからなんだかおかしな感じに見えてるのかも」

神戸記者 「確かに、本当の自分を隠しながら、等身大の何十倍もの大きさの言葉を使っている感じがします。

そういえば、実名制であるフェイスブックに登録した頃は、自分の日常がさらけ出され始めて、これまでの虚像との落差を感じました」

野口 「そうやって私たちはネットの自分と、リアルな自分との向き合い方みたいなのを、学んでいったんですかね」

「mixiはいつまでも輝く」

野口 「こうやってmixiを振り返ってみて、いかがでしたか?」

神戸記者 「mixiが人生の一部だったということを改めて実感しました。
日記を読んで、黒歴史ではあるけれども、今の自分とつながっている部分はあるなと感じました」

山下記者 「『昔の自分、口ばっかだなー』と思いますけど、今はちょっと成長している自分に気付きました。

マイミクに書いてもらった『紹介文』を読んで、私のことを『面白い』って書いてあって、意図せず自己肯定感が高まりました。

久しぶりに見てよかったー」

吉永さん 「タイムカプセルと言ったらいいか、パンドラの箱と言ったらいいか……(笑)。久しぶりに見て『恥ずかしい』って思うけど、どうかこれ消さないでほしいですね。

だって、いつ見ても笑えますもん。『mixiはいつまでも輝く』、そう思いました。マジでプリントアウトして持っていたいくらい」

野口 「『mixiはいつまでも輝く』、名言ですね! 私もこの頃の自分を抱きしめながら、生きていこうという気持ちになりました。

みなさん、ありがとうございました!」

座談会を終えて

mixi全盛期と青春が重なっていた私。思春期の恥ずかしい思い出を、更に煮詰めた一番濃いところが、今でもmixiに残っています。

今まで見ないふりをしてきたけど、こうやって語り合って思い出を共有すると、なんだかよかったものに思えてきます。

平成の終わりに振り返ることができ、すがすがしい気持ちで新年号を迎えられそうです。

ちなみに、友人が結婚式に際して、「昔の写真ない?」と聞いてきたので、mixiから写真を掘り出して渡したところ、めちゃくちゃ嫌がられました。

他人の情報が含まれるときは、どうかご注意を。

withnewsでは、平成が終わりを迎えるにあたって、平成を象徴しているのに普段は忘れられがちなアイテムや出来事を「平成B面」と名付けました。

みなさんの中で「そういえば……」とひらめいたものをハッシュタグ「#平成B面」をつけてツイートしてくれませんか? 編集部が保存に向けた取材にかかります。

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