「砂」が大金に変わる?

「砂」が大金に変わる?希少化する「砂」の今

2019/06/21(金)

下村靖樹 | フリージャーナリスト

近年世界各地で砂不足が問題化し、違法採取による環境破壊が顕在化したり、「砂マフィア」と呼ばれる犯罪組織が暗躍したりするほど、貴重な存在になっているのです。

なぜ、砂が不足するのか?

砂を大量に消費する行為として頭に浮かぶのは、関西国際空港やお台場などの大規模な埋め立て工事でしょう。

しかしそれは砂の使い道の一つでしかありません。

最も多く使われているのはコンクリートやアスファルト混合物を作る際に使われる細骨材。

その他にも、ガラス、歯磨き粉、化粧品など日常生活に深く関わる物から、電子機器や鋳型、シェールガスの採掘時など多種多様な形で利用されています。

他方、世界規模で「砂漠化」が問題になっている昨今、「むしろ砂は増えているのでは?」と考える方もいるかもしれません。

ところが砂漠の砂は丸く小さすぎて、最大の使用用途である細骨材としても、埋め立て用としても利用出来ないのです。

そのため世界一高いビル「ブルジュ・ドバイ」や、椰子の木の形をした埋め立てリゾート「ザ・パーム」などで有名な中東の国・アラブ首長国連邦(UAE)も、国土の大半が砂漠であるにも関わらず常に砂を必要としていて、2017年は120万トン(6400万米ドル)を海外から輸入しています。

BUSINESS INSIDER https://www.businessinsider.com/world-running-out-sand-resources-concrete-2018-6 によると、通常の家一軒に200トン、病院一つに3000トン、高速道路1マイル毎に1万5千トンの砂が必要だそうです。

いつの間にか「そこにあるのが当たり前」だった砂は、人口爆発と都市化の進展、そして急速なインフラ整備が進む今の時代、国家間で奪い合う天然資源になってしまっているのです。

正確なデータが存在しない「砂」

そんな重要な存在であるにも関わらず、他の資源のように注目されることが少なかったため、砂に関する採取・使用・貿易に関する国際的な規制や取り決めは整備されていません。

現在、世界各国でどれほどの砂が消費されているのか、公的機関による正確なデータが存在しないのです。

国連環境計画は(UNEP)、砂の使用用途として最も大きな割合を占めるコンクリート(砂、礫〔れき〕、セメント、水で作られる)に使用されているセメントの世界生産量(※1)から、その消費量を推定しています。

アメリカのコンクリート作成時の比率(砂の使用量はセメントの10倍)を元に算出した世界全体の消費量は、年間500億トン。

「一人あたり一日平均18キロを必要としている」と、先月出された報告書に記しています。)

また消費量と同様、国家間の貿易取引量も不明瞭です。

ITC(国際貿易センター)の貿易統計によると、砂(※3)の最大の輸出国はドイツ832万トン(約1億4900万米ドル)、輸入国はシンガポール6000万トン(約3億6600万米ドル)となっているのですが、不思議なことに2018年の総量・総額にずれがあるのです。

総輸出「4935万トン・17億2千万ドル(約1863億円)」に対し、総輸入は「1億2700万トン・22億6500万ドル(約2459億円)」と、輸入総量・総額が「約7800万トン(約600億円)」上回っています。

あきらかにおかしなデータもあります。

アフリカ大陸南部の国・モザンビークのデータです。

2018年の輸出量はわずか44万トン(全体の0.009パーセント)ですが、2017年は1億9300万トン。

世界輸出総量2億4570万トンの78パーセントを占める砂を輸出しているのです。

そしてITCのデータ上、その99.9パーセントが中国に輸出されたと記されているにも関わらず、中国側の輸入統計では、モザンビークから輸入した砂は「0」。

2001~2018年の累計ですら「463トン」となっているのです。

この原因についてITCは明示していないため、どのデータが正しいのかは分かりませんが、少なくとも、砂の国家間貿易が不明瞭かつ監視が行き届いていないことは明らかです。

砂と共存するために

インドでは砂マフィアが暗躍しており、環境NGO「ダム・川・人の南アジアネットワーク」によると、昨年一年だけで、違法な砂の採取に反対した政府職員、警察官、記者、市民ら11人が殺害され、18人が関連する活動で死亡したと伝えられています。

日本は2018年(1~12月)、130万トンの砂を輸入しており、2001年からの累計輸入量は5160万トンとなります。

2007年にそれまで最大の輸入国だった中国が輸出を禁止し、コンクリート用砂を確保するため建築業界が対応に追われました。

(現在の最大輸入国はオーストラリア/総輸入量の75パーセント)

日本国内での砂採取は、1968年に全面改定された「砂利採取法(1956年制定)」により、河砂の環境破壊を防ぐため河川での採取が厳しく制限されました。

ところがその結果、(特に瀬戸内海で)大量の海砂が採取されるようになりました。

1998年、環境保全のため広島県が海砂採取を全面禁止。

その後各県も続き平成18年には瀬戸内海での海砂は採取禁止となりました。

現在、採取規制や資源枯渇の影響を受け年々減少の一途を辿っており、2016年度における砂の採取総量は約7万2300トン。

2007年度10万5800トンの7割程度にまで減っています。

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